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スペシャルインタビュー
株式会社リアルコム 代表取締役社長 CEO 谷本 肇

1989年 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科卒業後、ブーズ・アレン・ハミルトン(現:ブーズ・アンド・カンパニー株式会社)入社。
その後、シリコンバレーに渡り、ハイテク・バイオ分野でのベンチャー企業コンサルティング、日米企業の提携戦略立案・実行サポートに従事。
2000年 リアルコム株式会社を設立、代表取締役に就任。
これまでの谷本氏のキャリア
『谷本社長のキャリアについてお聞かせください。』
学生時代は、慶応義塾大学の文学部に通っていました。
一般的にコンサルタントやベンチャー経営者の方々といえば、だいたい経済系や法律系、理系出身の方々が多くて、文学部って意外に少ないですよね。
私の場合、そんな文学部の中でもさらに英文科でしたので、学生時代はお気楽な学生をやっていました(笑)
それで、そのまま流れに乗って普通に就職活動をしたのですが、大学生の就職活動の目的って、とにかく親が喜びそうな、或いはみんなが凄いって言ってくれそうなネームバリューのある会社から内定を取ることじゃないですか。
私もある日本企業、大手の電機メーカーから内定を貰ったのですが、そこで初めて自分のキャリアについて考えました。この会社に入ったら自分の人生どうなるのかと。
それで、これは自分の人生としてつまらないという事で、就職するのをやめてそのまま慶應のビジネススクールに進学しました。
慶應のビジネススクールに入学して凄くラッキーだったのが、たまたま私が入った年から海外のビジネススクールとの交換留学制度がスタートしたこと。それで2年生のときにウォートンスクールへ半年間行かせて頂きました。卒業後はブーズアレン・アンド・ハミルトン(現:ブーズ・アンド・カンパニー)の東京オフィスに就職して、そこで5年間いわゆる戦略コンサルタントとしての仕事をしました。
その後、これもちょっとしたご縁があって、元々マッキンゼーにいらした日本人の方が創業したシリコンバレーの会社に入りました。その会社はベンチャー企業を相手に経営支援を行っているのですが、コンサルティングというよりは彼らのビジネスパートナーをどうやって見つけていくか、という事業をやっていました。クライアントであるベンチャー企業の戦略を固めて、その戦略に合った事業運営上のパートナーや、お金を出してくれるファイナンシャルパートナーを探すというサービスを提供している会社でした。
年齢でいうと、ブーズアレンを辞めて、シリコンバレーに行ったのが30歳。そこから35歳まで、シリコンバレーで先ほど申し上げたベンチャー企業相手の仕事をやらせて頂いていました。
シリコンバレーはご存知の通り、常に新しいことが起きていて、そんなダイナミックな中で、コンサルタントとして黒子でやっているのもいいけど、やっぱり自分でもやるべきではないかと、或いは、やれるんじゃないかと思ったんです。
シリコンバレーの凄いところは、誰でも「俺はやれるんじゃないか」と思わせてくれるっていう空気があること。自分もそれに乗って、やってみようと決意しました。そして、2000年、35歳の時に日本に帰国し、今のリアルコムという会社を立ち上げました。今年でちょうど10周年を迎えます。
『弊社にも「USや海外で働きたい」とご相談いただく方は多いですよ。谷本さんの場合、たまたま縁があって・・・とのお話でしたが、それは本当にたまたまなのですか?それとも何かしら準備をされたのですか?』
全くの結果論ですね。
コンサルティング会社で5年近くやっていると、一通りの事は出来るようになってくるわけです。すごく大変な仕事ではありますけど、大体の勘所は解ってきて、効率も良くなってくる。そうすると、「このままでいいのかな」っていう事を思い返す時期がありましてね。私の場合は「このままじゃいかん」という事で、次の転職先を見つける前に辞めちゃったんですよ。
そうしないと、じっくり物が考えられない、ってあるじゃないですか。
プロジェクトに入るとどっぷり浸かりますから。
周りの人はびっくりしてましたけど、辞めてしまいました。
ゼロベースで次の自分を考えてみようと思ったんですよね。その時はカメラマンになるとか、普通のオペレーションアンドカンパニー・・・たとえばメーカーさんに入るとか、プロフェッショナルなファームに入るとかいろいろな事をゼロから考えて、いろいろな方と会いました。そうしていく中で本当にラッキーなことに、先ほど申し上げたマッキンゼーの方が始められた会社が人を探しているという話を業界繋がりで聞いて、社長さんとお会いした。そしたら「これは非常にいいんじゃないか」と。確かに僕もシリコンバレーに行きたいと思っていたという流れもあった。本当に縁ですね。
株式会社リアルコムについて
『なるほど。そういう経緯から今の会社を興されたのですね。よろしければ御社の説明と、実際どのような事をされているのかを教えてください。』
今やっている会社も発想の原点はシリコンバレーにあります。私はシリコンバレーという地域自体が、非常に有機的な組織ではないかと思っています。
シリコンバレーで働く人々は例えばAppleとかOracleとか、それぞれの企業に所属しているわけですが、究極の究極、彼らは所属企業にロイヤリティを持ちつつも、シリコンバレーという地域にそれ以上に強固なロイヤリティを持っています。「ここで自分が何かを成し遂げたい」「誰かに貢献したい」という事に凄くロイヤリティを持っていて、それが故に、常にいろいろな有機的な集まりがあるわけです。
有名無名のベンチャーをはじめ、スタンフォード大学やUCバークレー大学などがホストになって、日本的に言うと異業種交流会的なものや、エンジニアの勉強会のようなものにベンチャーの経営者やベンチャーキャピタリストが呼ばれて、スピーチして、その後カクテルパーティー・・・といったイベントが毎週のようにいろいろな場所で起きています。その中から人と人とが知り合い、新しいビジネスのアイディアが出る。場合によっては、そこから新しい会社が立ち上がるという世界なんですね。
私の場合日本人ですから、そういう世界をシリコンバレーだけじゃなくて、日本企業からも作り上げるべきじゃないか?大企業でもそういう仕事のやり方がいいんじゃないか?と思ったわけです。シリコンバレーでの仕事のやり方をサポートするような、また、そういう仕事のやり方へと変えていくようなITと、私がコンサルタントだった事もあって、ビジネスサービスを提供する会社を作ろうというのが起業の想いですね。
では具体的に何をやっているのかという話ですが、まずは人と人とが有機的なコミュニケーションを進めていく上で必要になる、ツールとしてのソフトウェアの開発ですね。それをお客様に提供して、更にそのソフトウェアをどのように使えば有機的なコミュニケーションに活用できるのか?といったコンサルティングを行っています。
インターネットコミュニティなどにも通じる部分があると思いますが、ある所は自立発生的に出てくる一方、ある所はファシリテーションや、コミュニティーのメンテナンスが必要になってきます。そのようなファシリテーションやコンサルティングをビジネスサービスとして提供しています。世の中ではナレッジマネジメント等の言葉で表現されることが多いですね。いずれにせよ、人と人とのコミュニケーションのやり方を変えていく事で、お客さんのワークスタイルを変えていこうとしています。
そうやって変革されたワークスタイルの結果として、シリコンバレースタイルのように企業内の組織や部門を越えて新しいイノベーションが起きるとか、組織の中、或いは部門の中に留まっていたら解決できないような問題を、ダイナミックに解決していく、といったアクションをお手伝いしています。
『何となく分かったような気にはなりましたが、具体的な例、使い方を教えてください。』
例えばある大手の損保会社様(日本最大の損保会社)では、営業・商品情報であったり、売り方の虎の巻であったり、販促情報などがありますよね。それを社員だけではなく、代理店の営業の方にまで公開するようなポータルサイトをまず作ります。そして従来の人伝てだけでなく、リアルタイムで自社の営業マンが知るのと同じタイミングで代理店の方もそれらの営業情報を知ることができる。次のステップとして、現場で何が起こっているのかをリアルタイムで本部の人間も分かるポータルサイトを作って、その中での状況を進めていくコンサルテーションを提供しています。
『そのプロジェクトを実施するのは個々の営業の方ですか、現場の人ですか。』
主に実施するのは本部の商品部や、営業現場のサポート部隊になります。
『Googleとも提携されていますが、どういうものですか。』
Google社様とは3年前から提携しております。彼らも最近は変わってきましたが、当時、彼らは自社の検索エンジンを企業内検索にも活用しようということで、Google Search Appliance(Googleサーチアプライアンス)という、Googleのサーチエンジンをサーバーのハードウェアに乗せて企業向けに売っていました。 Googleのテクノロジーで社内検索も出来ますよ、というものですね。Googleの検索エンジンということで、テクノロジーに対する信頼があり、インターフェースも馴染みがあるので、皆さん喜んで使うわけです。
ただ、そのテクノロジーはインターネット検索の技術そのままなので、権限設定がない。つまり、全ての人が全ての情報にアクセスできてしまうわけです。極論すると、社長のデスクトップを末端社員でも見れてしまう、という話になるので、「この人にはこの階層の、この情報」という権限や、セキュリティをかけるブリッジ、コネクターを開発してGoogle Search Applianceと組み合わせで売っていく、というビジネスを当社は行っています。
『Googleといえば世界的にもトップクラスの企業ですが、数ある中から御社を選ばれた理由は?』
Googleも我々だけを選んだわけではありません。ですが、我々が彼らに評価されたとすれば、今申し上げた中では特にLotus Notesをうまく活かすというのがありますね。たまたま我々が社内情報共有、ナレッジマネジメント、或いは、グループウェアの分野に非常に知見があったので、そういったツールを開発しやすかった、そういう技術力があった、というのが理由としてあるのではないかと思います。
あと営業的な側面として、自らシリコンバレーに乗り込んでいったことも大きいと思います。自らアグレッシブに行って、向こうもそういう事なら一緒にやってみようかな、と。そういうところがあったかと思います。待っているだけじゃダメですね。
『そういった意味ではなかなか日本にはない会社で素晴らしいですね。』
まだまだですが、グローバルに物事を進めていかないと、と思っています。特にITの世界ではGoogleやMicrosoftや欧米企業・・・といいますか、殆どがアメリカ企業なんですね。日本市場でも実際そうなってしまっているわけで、そういった会社と戦うところまでいかないにしても、当社がそれなりのポジショニングを取って行く為には、グローバルにやっていかないと駄目なんじゃないか、という思いは非常に強いです。100人にも満たない企業ですが、グローバルという事は重要視しています。
『やっぱりエッジがかかってるところがいいのでしょうね。』
そこはどうやって立たせ続けるかが大事だと思いますね。
前職のコンサルティングファーム、ベンチャー企業の経験から役立っていること
『今お仕事をされている中で、過去のコンサルティング時代、或いはベンチャー支援ビジネスで身に付けて、役に立っている事があれば教えてください。』
まず、最初のキャリアとなった戦略コンサルタントでは、一般的に言われるような「物事をフレームワークの中で考える」とか、その結果「順序だてて相手に分かりやすく説明する」という部分が身に付いたと思います。他には「3日間で業界の事を全部調べて、この道30年のベテラン相手に、分かったような事を喋れるようにしろ!」といった状況が多くあったので、たくさんの情報の中から本質を見つけるような、気合と根性が半分くらいですが、そこの部分は訓練されたかなと思います。
また、シリコンバレーでは、ただ、いわゆる戦略コンサルティングファームと比べると、よりオペレーションに近い仕事をやっていましたで。極論すると、あるベンチャーが「3ヵ月後に資金がショートする。だから、ベンチャーキャピタルからお金を引かなきゃならない。でもベンチャーキャピタルは、この技術がいいと言ってくれるパートナーが居ない限り、お金を出さない」と。だから「或る日本のメーカーで、この技術に対して出資してもいいという会社を、お願いだから探してきて!」と言われて命懸けで飛んでいって、何とか提携を結ぶというような仕事が多かったです。そういう意味では、コンサルタントというよりは商社マンに近い仕事でした。
あと、シリコンバレーの商社的な動きの中ですと、かっこよく言うとベンチャーファイナンスの面もありますが、技術を持った会社がたくさんある中で、結局最後に売り込みをかける時のキーポイントは「コンセプト」なんですね。ビジョンとかコンセプト。
「こういうビジョンのこういうコンセプトの会社があります。その会社には●●の技術があります」といったとき、実はその技術って、100が終点だとするとまだまだ20とか30の出来なわけです。
なので、相手から「あれはどうした」「これはどうした」「こういう部分は検証したのか」と突っ込まれると、もう何も出来ないわけですね。
「そうではないのです」「そういう事を言わずに、このビジョンとこのコンセプトを買ってください」と。そのビジョンとコンセプトが「今は20点かもしれないけど、20%も出来ているのですよ」という言い方をしなきゃいけないところがあって、ビジョンとかコンセプトを売っていくという事は身に付きましたね。
あとはそんな中で、ベンチャーの世界は、表面的にはかっこよく見えても、現場はドロドロしてるわけです。そういうところでカッコつけずに、本当に自分をさらけ出さないといけない。「ここまでは出来てるけど、ここからは出来てない」とか、「本当に困っているんです」と。そういう部分を、私の場合はエージェントという立場からお客様の利害を代表してやっていました。ただ、そうであったとしても、自分の名前でクライアントの名刺まで作っているような世界ですから、自分も実業の世界にどっぷり浸かった感じですよね。且つ、「私はこのままサインして貰わないと、本国に帰れません!」くらいの気迫でやらないといけなくて、正直コンサル時代にはそこまでやった事はなかったです。そんな部分を学んだというか、そういう事までしないと提携やビジョン・コンセプト設計なんて出来ないんだな、といった部分を肌で感じたというのが、前職の経験では大きかったですね。
『それが先ほどのGoogleとの提携にも生きてる感じですね。』
そうですね。相手がベンチャーであるほど、「こんな事も出来ます」「こんな技術持ってます」とか言う前に、「俺の目を見ろ!」「オレの目を見て話せ!」というような気迫が、相手がアメリカ人でも大事になります。
今後の方向性や目標
『最後に御社の今後の方向性や目標などを教えてください。』
会社の方向性としては漠とした言い方になってしまいますが、我々がやっているITとコンサルテーション、ビジネスサービスを通じて、お客様のワークスタイルをどんどん変えていきたいと考えています。まだまだ我々が目指している事からすれば、出来ている事というのは10%, 20%です。リアルコムのサービスなりソリューションを受けると、自分の会社が本当に変わって、その結果、何らかの業績が良くなる。例えば新製品の開発スピードが上がるとか、営業効率が上がるとか、売上げ利益が上がっていくとか、そういうビジネスをどんどん我々としても確立していきたいですし、広めていきたいと思っています。
私の場合、日本人なので結果的に、まず日本企業のワークスタイルが変わっていくことが面白いと思います。
日本企業が自前主義じゃなくて、いろいろな部分をアウトソースしていき、その中の情報共有、ナレッジマネジメントのコアの部分を我々にアウトソースして頂けたらなと思います。その結果、お客さんの組織の中に居る人達が変わって、組織も変わる。人が変わっていくというのを、まず日本企業中心に提供していく事で、よくいわれる「日本企業のホワイトカラーの生産性というのはグローバルで非常に低い」とか、「競争力がなくなっているんじゃないの?」いう状況を少しでも押し戻したいと、且つ、我々としては、そういう事が出来るグローバルカンパニーになりたいと考えています。
今後さらにインドとアメリカの拠点を活かし、さらに業務的なシナジーを効かせて、がちゃんと効いていて、カルチャー的にも人材交流的にももっと一つに、一枚岩になっていこうと思っています。
『本日はありがとうございました。』

株式会社リアルコム
エグゼクティブからのメッセージ 動画インタビュー
株式会社プレセナ・ストラテジック・パートナーズ 代表取締役CEO 高田貴久
'10年 4月
慶応義塾大学 SFC研究所上席所員 高橋 俊介
'10年 3月
株式会社リアルコム 代表取締役社長 CEO 谷本 肇
'09年 12月
株式会社ワタミファーム 取締役副社長 木村敏晴
'09年 10月
株式会社レノバ(旧:株式会社リサイクルワン) 代表取締役 木南 陽介
'09年 8月
株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 ヒューマンリソース本部長 小林 賢治
'09年 7月
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'09年 6月
株式会社シーエー・モバイル 執行役員 人事グループ担当 木村健人
'09年 5月
シュワルツコフ ヘンケル株式会社
代表取締役社長 足立光




Teach For Japan代表 松田 悠介
'10年 10月
'09年 4月