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スペシャルインタビュー
株式会社シーエー・モバイル
執行役員 人事グループ担当 木村健人

上智大学卒業。三菱総合研究所のコンサルティング部門にて約11年間、戦略系・組織人事系案件に従事した後、デロイトトーマツコンサルティングに入社。
Human Capital部門にて大手企業に対する人事諸制度設計や人材開発関連のプロジェクトに従事。
その後、ファイザー、バクスターといった外資系製薬メーカーの日本法人で人材開発業務を担当し、現在はシーエー・モバイルにて人事担当役員として組織・人事にまつわる経営課題全般に取り組んでいる。
木村氏のこれまでのキャリア
『これまでのキャリアを教えてください。』
新卒で三菱総合研究所(以下、三菱総研)のコンサルティング部門に入社して、11年勤めました。その後がデロイトトーマツコンサルティング(以下、DTC)に2年、その後、ファイザーに3年弱、次に同じく製薬会社のバクスターに2年弱いました。
三菱総研入社時、上司や周囲は中途の人が多くて、直属上司はソニー出身でしたし、先輩は日立出身、コンサルティング部長で今でも尊敬している水島さんという方ですけれど、その方も石川島播磨重工出身でしたし…これらの方から「事業会社で組織人として色々なものを経験してからコンサルティングをやるのがいいよ」とよく言われました。「でも既に三菱総研に入ってしまっているんですけど... 」と思いましたね(笑)
確かに、コンサル一年目で製薬会社のコンサルティングに携わったのですが、自分が何をしていいのかわからないというか、何にもお客さんに貢献できないことに無力感を感じました。新卒ですしインタビューメモをまとめたり、ミーティングをセットする等はできるとしても、本質的にコンサルティングという点でお客様にバリューを出すのは難しく、やはり事業会社を先に経験すべきだったのかなと思うことはありましたね。
ただ、今振り返ってみると、先輩たちが事業会社を経験してからコンサルティングをやるといいよといっていたけれど、僕はコンサルをやってから事業会社へ・・・と、全く逆なんですけれど、僕はそれはそれで良かったと思っていますね。
何故かというと、コンサルを通じて色々な会社を見て、人事とは、理想的にはこうあると良いのではなかろうか、という「あるべき姿」を自分の中に持てるようになりましたからね。そしてそれを事業会社で実現・実践してみたいという…僕のキャリアの流れって大きくはそういう感じですね。
他の人たちは事業会社で色々経験してコンサルでアドバイする側にまわるっていう人が多いけれど、僕の場合は、コンサルを最初に経験して、自分なりの理想とかあるべき姿、色々な会社を見て「こうしたらいいのにな」というのを感じて、それを事業会社で実践・実現していく…そういうのもありじゃないかと考えているので、今のキャリアは結果的には良かったかなと思っています。
『新卒で三菱総研を選ばれた理由というのは?』
もともとは今、重視され始めているCSR:企業の社会的責任にとても関心があって、企業がもっと社会に対して、株主に利益を還元するだけじゃない、色々な関わりをしなくてはいけないという問題意識がありました。それを実際に展開できる会社を探していて、ひとつはキヤノンとか富士ゼロックスとか、CSRに熱心なメーカーに入るという選択肢もあったんですけれど、色々な会社でそれを展開するほうがより面白いなと。三菱総研はシンクタンクなので、面白い立ち位置で、CSRに関わる提言ができるかなと考え、選びました。
ただ入ってみたら他のコンサルと同じで、まずは自分の食い扶持を稼いでから物を言え、といった雰囲気で、「企業の社会貢献について」みたいな話は実際にはできませんでしたが。まあ、当り前のことですけどね。
ただ、そこで企業の「顧客に対する価値提供」とか「人材に対する処遇」だとか、そういうものは社会的責任の中でも大事だということは学びました。そこで人事の仕事と出会えたのは良かったですね。
『三菱総研では人事領域のコンサルティングをやっていたのですか』
一番初めは事業戦略、その次は組織再編ですね。戦略コンサルをやりたい人が多かったので、組織人事領域の案件をやる人がいなかったんですよ。僕が一番若かったので、「木村君、組織人事やって」みたいな軽いノリで仕事を振られました。(笑)
当初は戦略作って、組織再編して、次に評価制度や報酬制度に落とすという流れのコンサルが多かったのですが、人事制度のところだけでもクライアントニーズがあるということがわかってきて、それを横展開するようになりました。
ただ、三菱総研が戦や人事コンサルよりも、システムソリューションに注力するような経営の舵取りがあったんですよね。その時ちょうど人事コンサルに注力しようとしていたDTCから声がかかったんですよ。同じ志をもった人たちがいるなら試してみたいと思って転職しました。
『DTCはいかがでしたか?』
とても厳しく求める風土だったので、勉強になりましたね。(笑)
部下に対する接し方とか、自分が大事にしたいことと会社が大事にしたいことがだいぶ違っていたこともあり正直辛いこともありました。例えば、僕は人材開発というかソフトイシューに興味があって、そっちが大事だと思っていましたが、一方で制度作りとか、M&Aの後の統合の方が規模も大きいし、儲かる。ニーズもありますし。そこに大きなギャップはありましたよね。ただ、結局その時の部下や同じマネージャーだった人たちと今でも付き合いがありますし、大変だったけれど、いい経験でしたね。
『コンサルはDTC含め13年半くらいですよね。その後事業会社に移られた背景は?』
三菱総研時代の先輩がファイザーの人材開発部長をやっていて、声をかけていただきました。
ちょうどコンサルを13年やって、事業会社で実際に実践してみたいという気持ちが強くなっていた時期だったんですよね。また、DTCの後半は結構、教育研修の仕事をしていたんですよ。
リーダーシップトレーニングとか、マネジメントトレーニングとか。ただ、単発の研修だけだと、その後本当にそれが根付いているのかとか、企業は変わったんだろうかとか、思いを馳せるじゃないですか。それをずっと実際の従業員の人たちと伴走しながらやれるような仕事をしてみたいという思いがあって、先輩からの誘いもあったので「じゃ、行きます」っていう話になりました。
『実際に伴走するような形で仕事してみていかがでしたか。』
楽しかったですね。充実感がありました。主にリーダーシップのトレーニングやスキル系のトレーニングの開発やトレーナーをしていたのですが、良いプログラムを作り実施して、フォローアップもちゃんとすると、人の成長や変化は目に見えてくるし、感謝もされる。逆にいまいちなことをやると、ちゃんといまいちだというフィードバックが帰ってきて、それに対してはどういう手を打つべきかっていう話になるし。
コンサル時代にやっていた、こういう絵を描いて、こういうことやるといいですよっていうことを、実際にやって、変化を共にするという仕事なので、すごくやりがいはありました。
『その後のバクスターでも同じような業務内容だったんですか?』
単純なトレーニングから一歩突っ込んで、ファシリテーターの役割も求められました。例えば、事業部の責任者のミーティングや支店長会議。そういうミーティングって非常に大事だけれど形式的で重要なことが十分に議論されなかったりする。それを改善するファシリテーションを務めたり、エリア戦略に対してコンサルに近いことをやりながらトレーニングするような仕事でした。
ファイザーの時はグローバルで作ったトレーニング・パッケージがあって、それを日本向けにローカライズしてデリバリーして効果を測定するような仕事の仕方だったんですけれど、バクスターはわりと手作りで、実際の現場の数字が上がるような、より実践的なトレーニング、しかもトレーニングだけじゃなくてコンサルテーションや会議のファシリテーションを総合的にやるような役割でしたね。
大変だったけど非常に面白かったです。いまだにバクスター時代に一緒に仕事をした人や社内顧客とは時々連絡を取っています。とても良い経験でしたね。
『なるほど。それら事業会社での人材開発の経験を経てシーエー・モバイルに来られたんですね。』
そうです。
シーエー・モバイルに入社を決定したのには3つほど理由があります。1つは人材開発の仕事から人事全般、人事のヘッドという仕事がやりたかった。人材開発だけでも駄目だし、評価や報酬、採用だけでも駄目だし、トータルでやりたいなと。人材開発の仕事をしていると人事とぶつかったりするんですよね。そもそもそういう採用の仕方をしているから駄目なんだとか、育成と報酬をセットにしなきゃ駄目だとか・・・でも役割が分かれているとやりづらいじゃないですか、だから自分がリーダーとなってトータルでやりたいと思っていました。
2つめは企業規模です。ベンチャーというには大きくなっていて、今500人くらいなんですが、面白いステージだと思いましたね。今まで急成長してきて、これから本当に普通の企業になるのか、ベンチャースピリットを持ったまま、とんがったまま次のステージに入るのか、分かれ目だなと思って。そこでベンチャーの良さを残しつつ規模も拡大していくことに貢献する仕事はやりがいがあるなと。
3番目は、モバイル・マーケットがこれからさらに発展するポテンシャルを持っていると感じたからですね。携帯の販売は頭打ちだけど、携帯を使ったビジネスの可能性に魅せられましたね。大きくはこの3点で決めました。
『全く違う業界への転職ですが、ギャップやとっつきにくさなどはありませんでしたか?』
僕はないけど、普通はあるみたい。(笑)
製薬会社だと、普通、同業種間で人事の担当者も転職することが多いようなんですよ。
ファイザーからバクスター行って、さらにノバルティスに行くといった動き方をするんですよね。だから携帯の業界へ行くって言ったら、ファイザーの上司からは「お前、何考えてるんだ」って言われました。「バクスターならまだしも何とかモバイルって何だ?」みたいな(笑)。この方は高校の先輩だった人でもあるので、「俺は悲しい。何のためにファイザーから出したんだ」みたいな話までしていただきました。ただ、自分はそういう感覚は全然なくて、僕としては、人事の「あるべき姿」を実践するにはどこでも同じなんじゃないかと思ってましたからね。
ただ、自分の今の課題でもあるんですが、やはり業界やビジネスの実態についてはある程度精通していたほうが良いですね。そういう意味では業界の垣根は存在するんでしょうね。僕もモバイルのことを勉強しなくてはいけないと思うし、製薬会社にいた時ももっと製薬のことを勉強しておかなければいけなかったなと思いますね。まあ、コンサル時代は業界関係なくやってましたから、今でもその感覚でやっているんでしょうね。あんまり業界にこだわりや偏見はないですね。
一人ひとりのモチベーションの源泉を大事にし会社も従業員もハッピーに
『わかりました。それでは、今のお仕事について教えてください。』
採用、配置、育成、評価、報酬、登用、昇進といったものをトータルで、制度の運用や新しい制度の立案、導入・・・まぁいわゆる人事の仕事なんですけれど、「あるべき」で言うと、経営者にとっても従業員にとってもハッピーな状態を作るっていうのが、自分の中でやらなくちゃいけないことだと思っています。ただ、実現はかなり難しいんですけどね。
例えば、儲かったら、経営者は株主への配当だったり、次への投資へ回したいけれど、従業員は当然、ボーナスくれって思うじゃないですか。従業員も経営者もハッピーってあんまりなくて、従業員がハッピーすぎると会社がいつの間にかつぶれることだってあるじゃないですか。ぬるま湯のような、お給料もいいし、そんなに仕事しなくていいような環境が続くと会社がつぶれますよね。一方で経営者や株主に利益を偏重して配分すれば従業員の気持ちが離れていく。このバランスって実は結構難しくて、それをちゃんと両立させたいというのが、自分の中で考えている人事の目的ですね。
では、どうやるかっていうと、従業員一人一人の異なるモチベーションの源泉を大事にするような施策を打ちたいなと。お金が欲しいって人もいれば、仲間に認められたいとか顧客に認められたいって人もいて、みんなそれぞれツボがちがうんですよね。今やりたいと思っているのは、そのツボをうまくつくこと。そうすると働いている方もハッピーだし、力を発揮してくれて成果も出やすくなるから、経営もハッピーだという循環が創れますからね。
『従業員が何百人もいたらなかなか難しいですよね。色々なツボがありそうですからね。』
そうですね。具体的にどう進めるかは大きな課題です。
もう1つが、各人の強みを活かしきることですね。色々な考え方はありますが、僕としては弱みを改善するよりも強みを伸ばすことに注力した方がその人にとってもハッピーだし、結果的には組織にとってもその人ならではのパフォーマンスをあげてくれる訳だから、ハッピーじゃないかって思っています。
一人ひとりのモチベーションの源泉(=ツボ)を大事にするいうのと、強みを活かすというのが、会社もハッピー、従業員もハッピーっていう状態をつくる大事な手段だと自分なりに思っていて、それを採用にしても、育成にしても、評価にしても、いかに実現していくかが、今やっている仕事ですかね。
『難しそうなテーマで、ちょっと聞いただけでは解が見当たらない感じなんですけれど・・・』
難しい。(笑)すごく難しいですね。
それぞれの強みって何だとか、それぞれのモチベーションって何だ、ツボって何だとか、そういうサーベイをアセスメントすることが第1ステップ、次にそれをマネージャーが見て、例えば10人部下がいたら10人なりの力を引きだすようなマネジメントっていうのをやっていく・・・それが重要な2番目のステップとなると思っています。
最終的には異なるモチベーションに応じた報酬・・・ある人は休暇が欲しいとか、ある人はやりがいのある次の仕事が欲しいとか、ある人はお金が欲しいとか・・・最終的にはそういう報酬の多様化ができればいいかなぁって思っています。実行するのはものすごく難しいですけどね。
経営トップや社員に話しても100%賛成ということはないだろうなぁって思うし、実際は日々の人事制度の運用の中で刷り込んでいくっていうか、練りこんでいくような形になるとは思うのですが。
『運用するとなるとある程度運用する人たちが理解して運用していかなければいけないわけで、でも人それぞれ理解度合いも変わってくるでしょうし、なかなか公正な評価というのも制度として難しいですよね・・・』
難しいですね。今は結構単純で、数字・利益をあげた人がえらくて、その人を昇給して、みんなそれをモチベーションの源泉にしようということで、成果をあげればそれに対してお金で払いますという会社なんですよ。
それはそれで制度として運用しているわけですけれど、そこにいかに一人ひとりのモチベーションのツボを生かしていくか、マネージするマネージャーの腕を上げていくか、今の制度をちゃんと運用しながら次に進化させていく移行フェーズみたいな感じですかね。
『まさにこれからという感じですかね。』
そうですね。この半年くらいでまずやったのは、「価値観の共有」です。企業が次のステージに行くので、もう一度企業として目指すべき方向や、大事にすべき価値観とかをみんなで共有したいっていう話が社長からありまして。
はじめに社長が思いを発して、次に従業員が、「自分はこういうのが大事だ」とか「シーエー・モバイルらしさってこういうことじゃないか」とか・・・議論する場を連続して作っていって・・・そのファシリテーションをずっとやっていたんですよ。結果として、CAMグループウェイという形でシーエー・モバイルグループとしてこういうのは大切にしようっていうのがやっと今、8・9割固まってきたという段階です。毎週、社長を含めて4、5時間かけて現場の社員20〜30人と連続でミーティングして、シーエー・モバイルが大切にすべき価値観について話し合う、といったことをしましたね。
修羅場、正念場、土壇場をくぐり抜けてきた経験
『なるほど。コンサルをやってきた経験として今の仕事に生きていることが、「あるべき」以外にもあれば教えてください。』
普通に考えると、論理的思考とか問題解決手法とか、いわゆる基本的な仕事の進め方なんだろうけれど・・・自分としては、修羅場とか正念場とか土壇場とかあるじゃないですか、そういうものをくぐり抜けたっていう経験ないし自負、少々のことでは動じないぞっていうマインドですかね。コンサルって、修羅場があるじゃないですか。明け方に報告書作ってたら、何がなんだかわからなくなってきた・・・とか(笑)
正念場という意味ではこのプレゼンで顧客に納得してもらえないと帰れないぞとか、お客さんから最終報告で全然違うことを言われちゃったとか、顧客の事務局が背中から刺してきたとか、そういう土壇場みたいな場面があるじゃないですか。そういうことを数多く経験しているので、今は何が起きてもあんまり動じないかなぁっていうのはありますね。
『それはありますよね。精神的に張りつめた状態でコンサルってずっと仕事しているじゃないですか。
そういう緊張感の中でずっと仕事をしている経験というのが今に生きておられるんでしょうね。』
今思えば、日本の名だたる会社の社長だったり、事業部長だったり、人事部長だったり・・・何百人と会ってて・・・それはやっぱり生きているんじゃないかなと思います。
人を値踏みするわけじゃないけれど、色々な人と比べた時にこの人はどんな人なんだろうって・・・そういう時の相対感って大事じゃないですか。特に事業会社入っちゃうと、僕の周りのシーエー・モバイルの人はシーエー・モバイルしか知らないけれど、僕はトヨタの人はこんな感じだとか、NTTの人はこんな感じだとか、なんとなくカルチャーとかわかるじゃないですか。部長クラスだとこういうことができるとか、こういう見識をもっているとか、そういう横比較ができるのはコンサルをやっていて良かったと思いますね。
シーエー・モバイルの今後と可能性
『わかりました。それでは、シーエー・モバイルの今後の方向性などについて聞かせてください。』
価値観の共有の話をしましたが、今、会社の目的、ミッション、バリューをもう一度定義し直しているんですが、社長とも色々話して、これはうちの会社の面白さだと思っているんですけれど、本気で新しい産業を作りたいと考えています。
現在、自動車や電機など、日本を代表する産業が、どんどん地盤沈下している状況ですよね。そういう状況下、携帯が次の日本の基幹を担う、大きな産業になる可能性を持っているんじゃないかって思っています。世界中の人が携帯を持つようになりつつありますが、当社のゲームのサイトやSNS、あるいは広告手法を輸出できたら大きな産業になるんじゃないかって結構本気で考えてますよ。新しい日本を支える産業をつくりたいっていう話が1つですね。
それから、新しい文化を作りたい。若い人にとっては携帯は次から次へと新しいものが生まれるメディアで、ここで新しい文化を作っていきたいですね。
この二つは結構本気で会社としてやっていきたいと考えています。
『今、モバイルはマーケットとして大きく急成長していると思いますが、今後はどのような展開をしていくと思いますか。』
いくつか可能性がありますね。携帯の台数の普及は飽和状態となってきていますが、例えばニュースって僕らは新聞で読むじゃないですか。でも20代の子達は携帯のニュースサイトで済ませてるんですよ。当社はそのニュースサイトの一番大きいところと二番目に大きいメディアを運営しているのですが、いずれ20代のOLが30・40代になって、20代の男性が30・40代になった時ってたぶん新聞読まないんですよ。そのまま、全部モバイルで済ますようになると思うんですよ。つまりニュースひとつ取っても携帯の活用層が広がっていくと思うんですよね。さらに言えば、高齢者だったり主婦だったり。高齢者は、今は携帯を電話として使っているけれど、もしかするとそこでゲームをやったり、パソコンは使えないけれど、検索を覚えて、携帯で色々な情報を収集するとかあり得ると思ってますね。また、主婦だったら、今はスーパーで買い物を済ませてますが、携帯で日用品を買うとか。
使い方に関しては非常にマーケットに広がりがあると思っていて、しかもこれから携帯世代が上がって行くから、塗り変わっていく・・・みたいなね。
パソコンでインターネートをやる世代と、携帯でやる世代が25歳くらいで分かれているんですよ。
例えば、我々の世代はアマゾンで本を買うにしても、パソコンじゃないですか。だけど若い世代は携帯だけで済ませちゃう。
なんでも携帯で済ませてしまうユーザーが増えてきていて、端末の台数自体は頭打ちだけれど、そこでやれることや対象ユーザー層はまだまだ広がっていくと思います。
『新しいビジネスがどんどん生まれてくる可能性があると。』
そうです。そこが魅力ですね。
もう一つの可能性としては、スマートフォンと呼ばれる携帯の進化版や、逆にパソコンのコンパクト版だとか、さらに言えば車のカーナビ、これもモバイルなんですがまだネットと完全にはつながっていないし、モバイルって実は携帯電話だけじゃなくて、幅広い世界があって、さっきも言ったように海外市場もあるし。他の国はまだ電話かメールするだけじゃないですか。そういう広がりもありますよね。
一方で、今シーエー・モバイルのグループウェイをまとめているところでいうと、目的からあえてモバイルっていう言葉をはずしました。これまでは「モバイルインパクト」が一つのキーワードだったのを、あえて外しました。モバイルで何か非常にいい事業展開ができたら、そのモデルをリアルでもやろうというメッセージも含んでいますね。モバイルだけで勝負しようとは実は思っていないんです。
要約すると、モバイルにはすごい可能性がある。ただ、モバイル以外にも出て行きたいと思っている。そういう成長のポテンシャルを秘めている会社かなと思いますね。
『それを実現するのが人材だということですかね?』
そうですね。
一歩間違えるとモバイルでも失敗して、他に出て行っても失敗してみたいな話になってしまいますので、人事としては、事業の戦略で良いものが立案されて、しかも浸透のサポートもしたいなと思っています。そういう意味では、今やろうとしていることは壮大だし、しっかり腰を据えて取り組んでいきたいですね。
自分のキャリアとしては、二つ面白いなって思っていることがあって、一つは事業サイドで何かできないかなって思っています。例えば企業向けの人材育成のコンテンツを携帯を使って配信するようなビジネスを展開できないかということです。事業サイドの責任者から「事業計画が甘すぎる」などと言われると恥ずかしいので、あんまりおおっぴらには言えませんが。もう少しモバイルのビジネスがわかってきたら、そういう人事×モバイルのようにこれまでの自分の経験を活かせるような事業を作れないかというのは、実は一つの夢です。人事の仕事はもちろんしっかりやらなくてはいけないんだけれど、事業サイドで何かできないかなという思いもあります。
加えて、シーエー・モバイルが順調に成長して、モバイルの中でリーディングカンパニーであり続けて、かつ他の分野にも進出し、3000人とか、5000人とか、もしかしたら何万人の規模に成長したととして、その時にも人事の責任者であり続けたら・・・そう考えると楽しいなぁ、わくわくするなぁって思っています。この2つの意味で当社は自分にとっていいフィールドだなぁって思ってます。だからここで腰すえてがんばっていきたいですね。
『なるほど。それでは次にシーエー・モバイルの人事担当者として一言お願いします。』
新しい文化を作れるというのが魅力だと思うんですよね。もう、生活の必需品であり、新しい文化を作る重要な手段となっているじゃないですか。新しい文化を作りたいと思っている人がいたらぜひ来て欲しいですね。
新しい文化って言うと陳腐かもしれないけれど、30代のおじさん達も新聞をやめて、携帯で新聞を見るかもしれないわけですよ。これ文化ですよね。主婦が、買い物をいちいちスーパーに行かないで、日用品を買えるわけですよ。モバイルで日常の買い物をするようになる、これも生活習慣、生活文化じゃないですか。
こういう生活シーン、世の中の習慣だったり文化だったりが、オセロのように変わっていく・・・そういう力を持っているんですよね。今まで黒だと思っていたのが、気づいたら全部白になっていた・・・そういう世界ですよね。
世の中を塗り替えることができてしまうので、自分から「塗り替えていきたい」って思っている人は、やることがたくさんあると思います。楽しいと思いますよ。
保守的な人だったり、今の世の中で良いって思っている人だったり、モバイルはやっぱりけしからんものだと思っている人にはあえて来てもらう必要はなくて、なんか一発当てたいとか、塗り替えたいとか、ちょっと山っけがあるような人が向いているかもしれませんね。(笑)
今回、バリューの中に社会貢献というキーワードを明示したのですが、世の中を変えたい、良くしたいと思っている人だったら、すごくやりがいがあるかなぁって思います。
社長がよく言っているんですが、携帯で選挙する世界が来る、とかね。
ありえますよね。投票率が低いと言われているけれども、携帯で投票できるようになったら、投票率相当上がりますよね。携帯で全部、演説とか、公約みたいなものが見られたら、あんな街宣車はいらないし、テレビで討論会もいらないかもしれないですよね。携帯でテレビも見られるし・・・そんな世界なんですよね。
ほんと言葉が陳腐になりますが、世の中を変えてしまう無限の可能性があるんですよね。そしてそれが、実際、日々起こりつつあるわけです。
携帯小説とかもね・・・そこからベストセラーが生まれて、純文学っぽいのも生まれて…となったりするじゃないですか。ブログもそうですけれど。
事業マインドだったり、現場に対する愛を持つことが大切
『熱いですね。では、最後に、今コンサルタントとして働いてる方にメッセージをお願いします。』
いくつかあるのですが・・・言葉は悪いかもしれないけれど、クライアントを馬鹿にしないことですかね。結構どこかでクライアントを馬鹿にしているコンサルタントって多いじゃないですか。
クライアントはそんなに馬鹿じゃないよっていう。事業を実際ずっとやっている人達って、そんなに口には出さないし、説明も上手じゃないけれど、考えていることとか、やっていることって言ったらその辺のコンサルやっている人には全然かなわないような人も沢山いますよね。
クライアントを馬鹿にするような人は、実はコンサルでも大成しないし、事業会社来ても逆に、受け入れられないというか、何も成し遂げられないんじゃないかなぁ。
コンサルタントで事業会社のことをどっか見下してるって人って時々いますよね・・・俺はなんでも知ってるけど、おまえら知らないだろみたいな・・・あるじゃないですか。
でも、実際、人材開発の仕事をしていると実感するのですが、光る人っていっぱいいるんですよ。だけど、その会社の政治的なことだったり、人間関係だったり、色々なものでそれを発揮できずにいる人がいっぱいいて、地頭の良し悪しとか、考えていることのリアリティとかって、全然コンサルに負けない人って結構多いんですよね。
そういう事実をちゃんと知った方がいいっていうことですね。
そういう人達から見ると、コンサルは別にたいしたものじゃないと思っていて、ただ、良くあるんですけれど、自分が言うよりコンサルに言わせた方が社長や役員が動くだろうなって思ってるんですよ。そういう感覚でコンサルを使う会社は結構多いと思います。
最近、コンサルが、使われなくなっているのではないかという危惧もあります。
コンサルから提言させる効果が薄れてきているというかか、やはり内部のソリューションはもっと内部でやらなければ、コンサルの人達には事業の具体的なことや細かいことはわからないから、自分達でやらなくちゃいけないというクライアント・サイドの動きは結構出てきているような気がしています。
コンサルティングの限界みたいなものがきっとあって、だから逆にポストコンサルっていう場所はまだまだ活躍の場所があるのかも知れません。事業会社の中で、コンサル的な視点だったり、整理する頭を持ちつつ、事業のことにも強くコミットできて、かつ一緒に前向きに企業を良くしていこうっていう意思と能力の持ち主に対するニーズは結構あると思います。そういうチャンスは増えてきているんじゃないかな。
コンサルで外からああしろ、こうしろって言う人は求められていなくて、企業の中で一緒にその場の問題を解決していくとか、コンサル的なフレームワークとか思考法を大切にしながら、現場の感情とか、気持ちもわかるみたいな・・・そういう人はすごく求められているんじゃないかと思います。
もちろん、そういうマインドや姿勢でコンサルをしている人はこれからもきっと、どのクライアントからも頼られるんだと思いますけれど。
コンサルにステータス感を持って、クライアントに対して上から目線の姿勢の人は仕事が減っていくことになるだろうなって気がします。
まとめると、コンサルでも事業マインドだったり、現場に対する愛だったりを持っている人であれば、これからもいくらでもポストコンサルとして活躍する場があるし、そういうものを持っていないと、そもそもコンサルとしてこれからやり続けること自体が厳しい状況になるように思います。
株式会社シーエー・モバイル
株式会社プレセナ・ストラテジック・パートナーズ 代表取締役CEO 高田貴久
'10年 4月
慶応義塾大学 SFC研究所上席所員 高橋 俊介
'10年 3月
株式会社リアルコム 代表取締役社長 CEO 谷本 肇
'09年 12月
株式会社ワタミファーム 取締役副社長 木村敏晴
'09年 10月
株式会社レノバ(旧:株式会社リサイクルワン) 代表取締役 木南 陽介
'09年 8月
株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 ヒューマンリソース本部長 小林 賢治
'09年 7月
イーソリューションズ株式会社 特別顧問 安藤 佳則
'09年 6月
株式会社シーエー・モバイル 執行役員 人事グループ担当 木村健人
'09年 5月
シュワルツコフ ヘンケル株式会社
代表取締役社長 足立光




Teach For Japan代表 松田 悠介
'10年 10月
'09年 4月